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Earth hacksセミナーレポート②_脱炭素を願う「Z世代」は「一次情報」を重視する

脱炭素を願う「Z世代」は「一次情報」を重視する

就職先に環境への取り組みを求める「Z世代」

2023年7月に開催された「脱炭素(デカボ)を価値にするマーケティングセミナー」において、株式会社ビズリーチの藤田拓秀氏と株式会社エイチラボの高田修太氏がトークセッションを行った。テーマは「Z世代と脱炭素<共感を軸にした人材戦略>」

1990年代中盤から2010年代序盤にかけて生まれた「Z世代」は、脱炭素を含むSDGs全般に対する高い関心を持っていると言われている。彼らの意識の高さは、就職活動にも反映されているようだ。大手転職企業ビズリーチで、大学生および新卒採用を行う企業向けサービスを運営する藤田拓秀氏は語る。

「ここ2、3年で大きく意識が高まっていると感じます。直近のアンケートによれば、約3割の学生さんが『企業の環境への取り組みや貢献度が就職先の選択に影響している』と答えています」(藤田)

また自ら運営するサマースクールやレジデンシャルカレッジにおいて、日常的にZ世代の若者と関わってきた株式会社エイチラボの高田修太氏も藤田氏に賛同する。

「最近の高校生と話していると、脱炭素はもちろんSDGs全般に対する意識が醸成されてると実感します。SDGs文脈で新しくプロジェクトをやりたいという気持ちを持っているZ世代も多いです。大人にとっては最近注目を集める社会的イシューも、彼らからすれば物心ついたときから、ずっと言われている常識というわけです」(株式会社エイチラボ 高田修太氏)

株式会社ビズリーチ 新卒事業 
事業部長 藤田拓秀 氏
大学生と卒業生をつなぐキャリア教育のプラットフォーム「ビズリーチキャンパス」を通じて、国内外のZ世代と日常的に関わっている。

デジタルネイティブには誠実な態度と経験者による一次情報を

生まれた時からインターネットが利用可能だったZ世代が高いレベルで情報収集を行っているのは間違いない。二十代にして、早くも物事の裏表を見極め、本質を掴む力を身につけている若者も少なくない。だからこそ企業がZ世代と対話する際には「リアリティと誠実さ」が必要だという。

「大学生から就職相談を受ける中で気付いたのですが、彼らは企業が本筋でやってる事業はもちろん、プラスアルファという形でどんな社会貢献を行ってるのかを結構しっかり見ているんです。『ここ、あんまりイケてないんですよね』って平気で言ったりするんですよ。彼らにとっては、企業の環境に対する活動が、就職先を選ぶ指標にもなってる。面白いなと感じます。」(高田)

「環境への配慮は当たり前」との意識をもち、高い情報収集能力を持つZ世代。しかし自分自身で何かしらの脱炭素アクションを起こすには至っていないことが多いという。企業は、どのような形で行動変容を促していけば良いのだろうか?ビズリーチの藤田氏は、大学生を対象に開催した「デカボチャレンジ」(企業の脱炭素課題に関するZ世代ビジネスコンテスト)を振り返りつつ語る。

「脱炭素に限らず、実際にアクションに取り組んでる社会人の方からその動機や具体的な課題などを熱く話していただくと、学生さんの興味関心の度合いが高まっていくのだと思います。学生さんが『関心がある』から『自分もやりたい』と変容していくのを実感しました」(藤田)

情報収集に長けるデジタルネイティブたちが欲しているのは、経験者による一次情報としての「生の声」というわけだ。「押し付けではなく、当たり前のように社会課題に取り組んでいる方々の姿に共感している学生さんが多かったように思います」と藤田氏は続ける。

株式会社エイチラボ 
共同創設者COO 高田 修太 氏
高校生向けのサマースクール、そして高校生、大学生、社会人が共に学ぶレジデンシャルカレッジの運営を行っている。

脱炭素を目指す企業にとって、Z世代とリアルな接点を持ち、濃密なやりとりをしていくことは重要な課題になっていきそうだ。Earth hacksでは、昨年に引き続き、ビズリーチ社と大学生を中心としたZ世代と企業の環境課題を共創で解決する「デカボチャレンジ」を実施する。さらに今年はHLABと高校生とデカボサマースクールも実施し、Z世代との継続的な接点を企業に提供していく予定だ。

『Earth hacksセミナーレポート③_脱炭素の海外トレンドと日本の競争力』へ続く