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【CDOトラウデン直美が訊く】デカボチャレンジに参加した神奈川県のデカボな取り組みと目指す未来
神奈川県がデカボチャレンジで出題したお題 :「“かながわブルーカーボン(仮称)”について様々な方に広く知ってもらい、取り組みへの参加・賛同をしてもらえる効果的な方法とキャッチコピーの提案」
神奈川県では、地域の脱炭素化を図るための「神奈川県版脱炭素モデル地域」を三浦半島地域圏(横須賀市、鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町)に設定し、様々な取り組みを推進しています。
今回は神奈川県 環境農政局 脱炭素戦略本部室 連携グループに所属する西澤友宏さんと本田勇貴さんにお話をお聞きしました。
聞き手は、モデル・タレントでありEarth hacks CDO(チーフ・デカボ・オフィサー)のトラウデン直美さんです。
神奈川県がZ世代とつくりたい未来
トラウデン直美さん(以下、トラウデン): デカボチャレンジに参加された理由を教えてください。
西澤友宏さん(以下、西澤): 通常の業務では接点が少ないZ世代の皆さんと繋がりを持てることが挙げられます。また、各企業や自治体が捉えている社会課題を、学生と一緒に解決に向けて共創できる仕組みに魅力を感じ、参加を決めました。
参加者の中には就活生も沢山いらっしゃると思うので、この取り組みを通じて神奈川県のことをいいなと思っていただけると嬉しいです。
トラウデン: 自治体としては神奈川県が唯一の参加となりますね。
西澤: 民間企業は民間企業のあり方、自治体は自治体としてのあり方がある中で、神奈川県として今回テーマ設定したブルーカーボンの取り組みを、いかに県内外の方たちに広げていくのか、といった点などで学生の力をお借りしたかったのが参加を決めたポイントでもあります。我々も自治体としてできることを学生たちと一緒に考えていきたいと思います。
トラウデン: 学生との共創に注力する理由を教えてください。
本田勇貴さん(以下、本田): 神奈川県では「2050年脱炭素社会の実現」を目指しています。学生と共創することで、我々にない視点やアイデアを取り入れることが出来ると同時に、本県事業や社会課題に興味関心を持ってもらうきっかけになるのではないかと考えています。
最終的には、今回参加している学生を含めたZ世代の皆さんが社会で活躍される際、学生時代の取り組みがきっかけとなり、環境に配慮したアクションなどに繋がっていって欲しいですし、環境に優しい取り組みがさらに次の世代へと続いていくことにも期待しています。
トラウデン: 神奈川県の環境への取り組みをお聞かせいただけますか?
西澤: 課題に設定した“かながわブルーカーボン(仮称)”の施策は現在企画を進めており、実行については次年度以降となります。現在は、脱炭素に関する高校生向けの普及啓発事業を行っています。グループワークや討論を通して基礎的な知識を学んでもらい、脱炭素を“自分事”として捉え、行動に繋げていくことを目的として実施しています。他にも、大学生や若手社会人に向けて、専門家の方にレクチャーしていただくグループワークなども実施しています。
神奈川県は三浦の海から脱炭素を
トラウデン: 神奈川県は海との関わりが強い地域だと思いますが、今回の課題でブルーカーボンに焦点を当てたのはなぜですか?
本田: 現在、神奈川県では三浦半島を脱炭素モデル地域に設定し、脱炭素化を促進するために様々な取り組みを実施しています。三浦半島は5つの市町で構成されており、この5市町ではブルーカーボンへの取り組みが非常に進んでいることが基盤にありますので、その取り組みをさらに盛り上げていきたいと考えています。また、そこで得た成果については他地域にも横展開し、県内全域にブルーカーボンに関係する取組を広げていきたいと考えています。まずは、ブルーカーボンが脱炭素にも繋がっているということを多くの方に知っていただき、少しでも県民の行動変容に繋がっていくことを期待しています。
トラウデン: 「ブルーカーボンを広く知ってもらうこと」を課題にされましたが、どのような狙いがあるのですか?
本田:課題を設定した背景として、三浦半島を始めとする相模湾では、主に漁業などで影響を及ぼしている「磯焼け」の問題があります。その原因となっているのは、水温の上昇や気候変動などによるものです。そこで、我々は脱炭素・ブルーカーボン・藻場再生など個別の目的で行われている取組を上手く組み合わせ、広く一体的に見せていくことで、これらの問題に対する県民の認知度を上げることから始めたいと考えています。また、その先に見据えるのは漁業振興や地域が抱える課題の解決です。例えば三浦半島地域では、観光客数がコロナ禍前の水準に戻らない状態が続いているため、地元にも還元できる取り組みを考えていきたいと思い、デカボチャレンジの課題に設定しました。
神奈川県のブルーカーボンに関する取り組みとは?
ブルーカーボンとは、海草や海藻など海洋生態系に取り込まれる炭素のことで、新たなCO2吸収源として期待されているものです。
神奈川県で脱炭素モデル地域に設定している三浦半島では、「磯焼け」と呼ばれる藻場の消失が急速に進行しています。そこで、ビーチクリーン(陸の取り組み)や藻場の再生(海の取り組み)など様々な対策を行なっています。こうした、陸の取り組みや海の取り組みを合わせて、海全体の環境を良くする取り組みを「かながわブルーカーボン(仮称)」として展開していきたいと考えています。
デカボチャレンジに参加してみて
トラウデン: 今回のデカボチャレンジに、どのような効果を期待していますか?
西澤:全世代の方から神奈川県のことを広く知っていただけることに大きな期待を寄せています。Earth hacks社とお話させていただく中で、我々にはない斬新な視点があると感じており、例えば、脱炭素への貢献度を分かりやすく表示している「デカボスコア」は生活者にとって分かりやすく、他の人を巻き込みやすいと考えています。学生のアイデアの中にも「こんなアプローチの仕方があるのか」といった気づきもありましたので、そこはデカボチャレンジを通じて実感している効果の一つですね。
トラウデン:実際にデカボチャレンジに参加していた学生はどのような様子でしたか?
西澤: 学生からは、我々が出したテーマに対して「これはどういうことですか?」と質問攻めをされるなど、非常に前向きに取り組んでいらっしゃる様子が印象的でした。
トラウデン: 学生からの最終発表のプレゼンテーションを聞いてどんな感想を持ちましたか?
西澤: 今回「ブルーカーボン」を課題として設定しましたが、学生からすると「そもそもブルーカーボンって何?」という疑問があり、他の企業と比較しても少し取り組みにくいテーマだったのかもしれません。ただし、最終的には3チームそれぞれが、違う切り口から斬新な企画提案をしてくれましたので、我々がブルーカーボン事業を進める上で、非常に参考になるアイデアばかりでした。
本田: 学生それぞれが持つ欲望を叶えながらも脱炭素やブルーカーボンの普及に繋げていくアイデアや着眼点は我々にはないもので、どのチームもすばらしい提案だと感じました。
トラウデン: 神奈川県として実際に取り組みたいアイデアはありましたか?
本田: 学生たちのアイデアは、既存の神奈川県のブルーカーボンに関する取り組みなどをベースに立案されたものだったので、すべてのアイデアに実現可能性を秘めていると思いました。
西澤:3チームとも異なった視点から提案をしていただき、その中から1つのチームを選ぶのは非常に難しく、とても悩みました。それぞれのチームが様々な可能性を秘めていたアイデアで、すばらしい内容でした。
トラウデン: これからがとても楽しみですね!ありがとうございました。