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    食べるバナナから着るバナナ 天然繊維「バナナクロス」のお話

    廃棄されるバナナの茎からつくられた天然繊維「バナナクロス」。

    バナナ繊維30%、コットン70%の割合で混紡した新しい繊維で、吸水性も高くリネンのような味わい深い風合い、サラッとドライな肌触りが特徴です。強度もあり、デニムや帆布といった頑丈な生地にも使われます。

    そんなバナナクロス。
    誕生の裏には、バナナ栽培が抱える悲しい真実がありました。

    バナナは収穫される際、地面から50cmほどを残して茎の大半を伐採します。このとき伐採される葉や茎は、そのほとんどが“不必要”なものとして栽培現場で焼却処分されたり放置されているのです。

    なお廃棄される茎の量は年間約10億トンにも上り(※1)、収穫されるバナナの約6倍の量にもなります。その量を焼却処分すれば当然CO2も大量に排出します。また焼却処分されずそのまま放置される場合も、腐って土壌汚染をしている現地に暮らす人々の生活に影響を及ぼしているといいます。

    バナナクロスを生み出したMNインターファッション株式会社の笠井克己さんはこう語ります。

    「廃棄されていたバナナの茎を天然繊維として活用することは、さまざまな観点で地球環境に貢献できます。バナナの生産国で常態化している二酸化炭素の大量排出や土壌汚染といった深刻な環境問題を解決するだけでなく、人口増加に伴い天然繊維のために使用されていた畑が食用に変換されるなど、今後の需要に見合うだけの供給量が困難だと予測されるなか、天然繊維の“新しい選択肢”にもなりうる。事実、それだけポテンシャルのある素材だと思っています」

    地球にも、人にも優しい、新しい天然繊維「バナナクロス」。毎日身につけるものは、こういう優しい素材を選びたい。

    ※1 東京都立産業技術研究所研究報告(2003年)